・まずはじめに…
(長いので、飛ばしたい人は飛ばして結構です)
Matrixは、サーバーサイドアプリケーション(Synapse等)とクライアントアプリ(Element等)などの実装を通して、暗号化された・もしくはされていないメッセージやデータの送受信を可能にさせる「通信プロトコル」の一つです。これを分散SNSのマストドンで言えば、ActivityPubが通信プロトコルであり、サーバーサイドアプリケーションがマストドン。そしてクライアントアプリがマストドンサーバーについてくるWebUIやスマホのアプリ等になり、それらを通してメッセージやデータをやり取りしている、と言えば分かりやすいでしょうか。
…とはいえ厳密に、そして細かく話をしていると他人に説明する際に煩わしいので、Matrixという通信プロトコルに基づいたサーバーサイドアプリケーションとクライアントアプリの実装をまとめて「Matrix」と呼びますが、最初の文字の「M」が大文字だと固い印象を受ける(あといちいち大文字にするのが面倒くさい)ため、みなさん「matrix」とカジュアルに呼んでますよね。これはクライアントアプリの「Element」を「element」と呼ぶのと同じかと思います。
分散SNSと同様、matrixはその通信プロトコルおよびサーバーサイドアプリケーション・クライアントアプリ。そしてブリッジ・bot・ウィジット等のプラグインやオプション機能に至るまですべてオープンソースであり、拡張性が高く様々なカスタマイズができます。この辺りは分散SNSでいえば例えばマストドンでは、独自開発した新機能を実装したり、WebUIをカスタマイズしたり、botを作ることと似ています。
ちなみに海外fedi(verse)ではXMPPで1対1の連絡を取り、matrixでルーム(Discordで言うとサーバー)を開いて友達で集まってチャットをするのが一般的です。もちろんmatrixでも1対1の連絡を取ることにも使われます。分散SNSによっては公式公開ルームがあり、その開発やユーザーとの交流に使われています。よってmatrixは、一部分散SNSの開発や海外fediユーザーとの連絡手段として欠かせない存在となっていて、インターネットやメッセージングアプリ等を取り巻く昨今の環境の変化も相まって、この数年でグッと存在感を増してきています。
…それでは長くなりましたが、ここから本編です。この記事ではmatrixにまつわる、鯖缶やユーザーのみなさんの参考になるであろう記事やプロジェクト等の情報を集めましたので、以下目次に沿ってご紹介します。
目次
1.Matrix関連のアカウントとハッシュタグ
2.公式ブログ・最近の興味深い記事
3.Webサービス
4.プロジェクト・その他プラグインおよびオプション機能
@ matrix@mastodon.matrix.org
matrix.orgの公式マストドンアカウントです。
・Matrix.org公式アカウント(Twitter)
https://twitter.com/matrixdotorg
matrix.orgの公式ツイッターアカウントです。
・Element公式アカウント(Twitter)
https://twitter.com/element_hq
elementの公式ツイッターアカウントです。
・# matrix のハッシュタグ
Twitterや分散SNS上でmatrixについて調べるときに便利です。
https://matrix.org/blog/posts
matrix.orgの公式ブログです。Synapseのリリース情報や「This Week in Matrix」と題した週間記事が毎週金曜日に発行され、先週金曜日からの開発状況等の報告等がされます。
・Element Blog
https://element.io/blog/
matrixの代表的なクライアントアプリelementの公式ブログです。
・WikipediaのMatrixおよびElementの記事
Matrix: https://ja.wikipedia.org/wiki/Matrix_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%AB)
Element: https://ja.wikipedia.org/wiki/Element_(%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2)
内容の正確性や情報の信憑性等はおいといて、matrixおよびelementのさわりとしての理解ができます。
・ElementのHelpページ
https://element.io/help
elementの使い方で不明な点等があった場合、簡単な内容ですがHelpページがあります。
・Googleがチャットアプリ「Element」を突如削除した後、復活させる
https://gigazine.net/news/20210201-google-reinstates-element-removal/
>ElementはGoogle ハングアウトのに代わる最良のオープンソースチャットアプリとしてAndroid関連メディアのAndroid Policeが取り上げたこともある人気のメッセージアプリです。そんなElementが、事前の警告なしに突如Google Play上から削除されました。
・関連記事:Element suspended on Google Play Store: now resolved.
https://element.io/blog/element-on-google-play-store/
上記のGooglePlayStoreからelementのアプリが突如削除させられる事件があった件で、element側がそれへの対応を当時公式ブログの上記の記事で逐次報告していました。
・FOSDEM 2021におけるmatrixおよびelementの運用について
Matrix.org公式ブログ記事:https://matrix.org/blog/2021/02/15/how-we-hosted-fosdem-2021-on-matrix
Element公式ブログ記事:https://element.io/blog/fosdem-on-matrix/
FOSDEMという年に一度のヨーロッパのオープンソース開発者による大規模イベント(今年はバーチャルイベント)でのmatrixとelementによる運用方法をまとめた記事です。
・PineconesとDendritesを利用した、P2P Matrixの進捗状況について
https://fosdem.org/2021/schedule/event/matrix_pinecones/
matrix.orgは現在の連合ネットワークのオーバーレイとして、P2Pを実装させるための開発を行っています。その開発進捗の報告が、FOSDEM 2021でされました。
・Introducing Cerulean
公式サイト: https://matrix.org/blog/2020/12/18/introducing-cerulean
Gitリポジトリ: https://github.com/matrix-org/cerulean
>An experimental Matrix client for playing with freestyle public threaded conversations
・March update: virtual backgrounds, new toolbar UI and more!
https://jitsi.org/blog/march-update-new-toolbar-ui-virtual-backgrounds-and-more/
matrixはJitsi(Meet)とのビデオ会話(会議)機能との統合ができますが、そのJitsiで仮想壁紙等の機能の更新がされました。
・Enter the Matrix: Secure communications network hits 30 million user milestone
https://portswigger.net/daily-swig/enter-the-matrix-secure-communications-network-hits-30-million-user-milestone
matrixのユーザーが三千万人を突破し、共同創業者2名に開発状況等のインタビューをしている記事です。
・Element rolls out bridge for Microsoft Teams to cross into Matrix’s encrypted comms land
https://www.theregister.com/2021/04/14/matrix_teams/
MicrosoftTeamsとElement(の企業向け版、Element Matrix Services (EMS))間でブリッジできるようになったそうです。
・Old Gitter bridge end of life (2021-04-21) - to be replaced with native bridge
https://matrix.org/blog/2021/04/15/old-gitter-bridge-end-of-life-2021-04-21-to-be-replaced-with-native-bridge
Gitterとのブリッジがネイティブでサポートされるようになったそうです。
・Heads up that we’re running a database migration on http://dendrite.matrix.org to improve its disk utilisation by 20x; given it’s an experimental deployment we’ve taken it down while the migration runs to make it go faster. It should be back in a day or two.
引用: https://mastodon.matrix.org/@matrix/106108669298294844
・WHATWGコミュニティのHTML標準に「matrix:」のURIスキームが正式に追加される
https://html.spec.whatwg.org/multipage/system-state.html#safelisted-scheme
参考:https://matrix.org/blog/2021/04/23/this-week-in-matrix-2021-04-23#matrix-uri-scheme
・Introducing the Pinecone overlay network
https://matrix.org/blog/2021/05/06/introducing-the-pinecone-overlay-network
PineconesとDendritesを利用した、P2P Matrixの最新の進捗状況について
https://the-federation.info/
分散SNSにまつわる統計情報が多いですが、Synapseやdendriteやmatrixプロトコルを利用しているサーバー数等の統計情報を調べることができます。
・Hello matrix
https://www.hello-matrix.net/
個人が趣味で運営しているサイトで、運営者によるmatrixに関するプロジェクトが複数掲載されています。「Unofficial list of public Matrix servers」は海外のmatrixサーバーの中で厳選したものが選ばれており、参考になります。
・List of Matrix servers
https://tatsumoto-ren.github.io/blog/list-of-matrix-servers.html
クライテリアに基づき「Servers that support links to rooms」「With Element」「Without Element」の3種類のリストに分けて、matrixの鯖が紹介されています。
・A list of free public matrix homeservers.
https://publiclist.anchel.nl/
アカウントの登録が可能な海外のmatrixサーバーと一部公開ルームのリストが掲載されてます。
・Matrix homeserver network stats
https://matrix.grin.hu/stat/
各matrixサーバーへのpingによる、サーバーのネットワーク周りの状態を確認することができます
・Matrix at TU Dresden
https://doc.matrix.tu-dresden.de/en/
ドイツのドレスデン工科大学で2018年の終わりからmatrixの試験運用がされ、その際の記録が残っています(このため一部資料は古い情報ですが、色々と参考になる点が多いため掲載します)。
・Matrix日本サーバ勢の公開部屋リスト
https://matrix-room-list-jp.netlify.app/
tateisu氏が開発した、Matrix日本サーバ勢の公開ルームに関する情報が一覧で見れます。
・ungleich.chによるMatrixホスティングサービス
https://ungleich.ch/u/products/hosted-matrix-chat/
・Element Home
https://element.io/element-home
クライアントアプリelemntが提供する、登録可能ユーザー5人までの小規模matrixホスティングサービス。月額10$から。
・Element Matrix Services (EMS)
https://ems.element.io/
団体・企業向けのmatrixホスティングサービス
https://github.com/rodolpheh/awesome-matrix
Awesomeリストのmatrix版です。matrixにまつわるプロジェクト(クライアントアプリ・管理者用ツール・VoIP・matrixを利用した外部サービス・ブリッジ等)が大量に記載されています。
・Matrix.org Discoverページ
https://matrix.org/discover/
DiscoverページにはMatrixにまつわる大量の資料や情報が記載されています。この中でも下記のそれぞれの項目に、matrix.orgがチェックしている各サービスの一覧が見れます。
クライントアプリ: https://matrix.org/clients/
ボット: https://matrix.org/bots/
SDKs: https://matrix.org/sdks/
ブリッジ: https://matrix.org/bridges/
ホスティングサービス: https://matrix.org/hosting/
・Element App Store
https://element.io/element-matrix-store
クライアントアプリelementに実装されている、ブリッジ・bot・ウィジェットがまとめらています。
––以上の3つのWEBサイトを見ればほぼほぼmatrixにまつわるプロジェクト・その他プラグインおよびオプション機能はカヴァーできますが、以下はそれらに載っていない、もしくは個人的に紹介したいものを記載しています—–
・matrix-docker-ansible-deploy
https://github.com/spantaleev/matrix-docker-ansible-deploy/
>Matrix (An open network for secure, decentralized communication) server setup using Ansible and Docker
・matterbridge
https://github.com/42wim/matterbridge
>bridge between mattermost, IRC, gitter, xmpp, slack, discord, telegram, rocketchat, twitch, ssh-chat, zulip, whatsapp, keybase, matrix, microsoft teams, nextcloud, mumble, vk and more with REST API (mattermost not required!)
・matrix-appservice-minecraft
https://github.com/dylhack/matrix-appservice-minecraft
>A bridge between Matrix and Minecraft
・Watch-The-Matrix
https://github.com/pixlwave/Watch-The-Matrix
>A watchOS client for matrix.org.
・maubot
https://github.com/maubot/maubot
>A plugin-based Matrix bot system.
・Go-NEB
https://github.com/matrix-org/go-neb
>Go-NEB is a Matrix bot written in Go. It is the successor to Matrix-NEB, the original Matrix bot written in Python.
・matrix-bot-sdk
https://github.com/turt2live/matrix-bot-sdk
>TypeScript/JavaScript SDK for Matrix bots. For help and support, visit # matrix-bot-sdk:t2bot.io
・matrix-email-bot
https://github.com/turt2live/matrix-email-bot
>A bot that posts messages to rooms when an email is received. Ideal for uses where a short message is desired in a chat room when a newsletter goes out.
・ivar2
https://github.com/torhve/ivar2
>ivar2 is an IRC/Matrix bot on speed, with a mentally unstable mind. Partially because its written in Lua, which could make the most sane mind go unstable. If that’s not obscure enough for you, ivar2 also supports running MoonScript modules.
・Connects to RSS and Twitter feeds
https://code.rix.si/rrix/matrix-feedbot
>Send tweets or RSS feeds to a matrix room. largely unmaintained and unused.
・matrix-monitor-bot
https://github.com/turt2live/matrix-monitor-bot
>A bot to measure latency between homeservers, as perceived by users.
・Hemppa
https://github.com/vranki/hemppa
>Generic modular bot for Matrix (and via it irc, telegram, slack, etc..)
・matrix-poll-bot
https://github.com/babolivier/matrix-poll-bot
>Matrix bot to do polls.
・ligh7hau5
https://github.com/vulet/ligh7hau5
>The ligh7hau5 project is used on the Matrix protocol to communicate with the Fediverse.
・Kazarma
https://gitlab.com/kazarma/kazarma
>A Matrix bridge to ActivityPub. It uses this ActivityPub library and those Matrix libraries.
それでは以上です。
Have a nice fedi life!
Liberapay: https://liberapay.com/4ioskd
Patreon.com: https://www.patreon.com/DignifiedSilence
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